2012年9月11日火曜日

EAC2012(2)


こんにちは。
前回からのEACの続き。

またもや引いてしまった「No1」。
なぜそこまで皆が嫌がるかというと、ずばり点数が低くなる傾向が強いからです。

なぜ低くなるのか?
採点は審判により行われますが、審判は選手やコーチに比べ、審判は曲技飛行を見ている数が圧倒的に少ない場合が少なくありません。
審判の目が調整されていない事が多く、見慣れたコーチなどは、自信を持ってずれやミスを指摘出来るのですが、審判は自らの目を調整する必要があり、最初の数フライトは??を抱えながらの判定になりがちなのです。
そして、Qualificationが終わるころには、すっかりと補正が終わり安定した判定内容となります。
ですから、くじ引きで決まるQの順番で、13番は絶対的に避けたい順番なのです。

最初のフライトは、規定演技(Qualification)として実施され、得点には含まれません。
しかし、ここでの順位で3グループに分けられ、上位グループにいないとその後戦いは圧倒的に不利になっていきます。
ですから、選手は予選といえども、何とか上位を目指していきます。

っとまあ、そんなことはわかっているのですが、くじ引きですからこればかりはそんな事を言っていてもしょうがありません。
パイロットブリーフィングが終わりいよいよフライト開始!という時に雨が降り出し、スタンバイに入りました。
結局初日は、3時間ほどスタンバイした後中止となり、翌日からのスタートとなりました。

Day2、朝一番でのフライトとなるので、ブリーフィング前に飛行場に到着し風向きをチェックし、競技空域BOXの方向を推定。
それに基づいてイメージトレーニングを開始します。
しかし、上空の風向の計測がまだ始まっていないので推測で準備するしかありません。

昨日の雨はあがったのです、ややもやっている状況で視程があまり良くありません。
しかしレギュレーション以上の条件ではあるので、競技は開始はされる模様です。
さらに、高層に雲があり日射がなくて、どんよりと暗い感じ。
こうなってくるとゴールドカラーのエッジは、地十から非常に見にくくなります。

そして、ウォーミングアップと呼ばれる、テストフライトが実施され、その後に競技フライトが開始されます。
ウォーミングアップは、次期パイロット候補が実施するのですが、その時々でレベルに非常にばらつきがあります。
この日は、非常に悪いフライトで、審判の目の補正に全くならないものでした。

そんな中スタートした、Q
フライト内容は、気象状態から若干ソフト目でしたが、悪くは無い出来。
しかし結果は、64%とかなありイマイチな結果でした。

今回、ありとあらゆる悪条件が重なった感じですが、また起こりえる課題です。
こんな状態でも上位グループに残るだけの対策を、来年の世界戦までに積んでおかなければなりません。

つづく。

2012年9月7日金曜日

EAC 2012 (1)


こんにちは。

昨日、EAC (European Aerobatic Champpionship)の全フライトを終えました。

多くの皆さまからのご支援をいただき、今回も非常に大きな経験を積ませていただきました。
まずは、ご支援・ご声援いただきました皆様に心より感謝申し上げます。


さて、今回のEAC、その名の通りヨーロッパ選手権なので、ヨーロピアンでない日本人は、参考成績にしかなりません。

ではなぜ参戦したか?
その目的は、自らのトレーニングは勿論ですが、メインの目的は来年アメリカで開催される世界選手権へ向けての課題の洗い出しでした。

今回は、パトリック・パリス コーチから大会の注意事項や戦略、注意点など出来る限りの情報収集を主眼においていました。

おかげで数多くのノウハウを得て、来年へ向けての準備を開始する事ができる状態となりました。

今後は主に下記の項目について、戦略の練り直しの必要性を感じています。
全てがすぐに実現出来ないかもしれませんが、チーム体制を整えて数年のうちに常勝チームを作り上げたいと思っています。

1.     操縦技術的課題
2.     チーム体制
3.     大会戦略
4.     ジャッジングの傾向
5.     トレーニングプログラム
6.     4ミニッツフリー対策

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今大会へのトレーニングは、大会会場から60kmほどの近郊にあるZilina空港で7日間にわたるキャンプを実施しました。
今年は、7月のアドバンス世界戦をメインターゲットにしていたため、アンリミテッドクラスのトレーニングは今回のみ。
時間的には非常に厳しい状態だった事は否めませんが、当初からその事はわかっていたので、ともかく出来うる限りのトレーニングを行うつもりでした。

しかし、アドバンスクラスから比べるとアンリミテッドクラスは格段に厳しく、最初の二日間は肉体的にも精神的にも一気に限界に近付いていきました・・。


3日目からスイスチームと合流。
ベテランパイロット達の中で、色々と助けられ何とか気力を回復しながらトレーニングを継続していきました。

訓練も進み毎日アンノーンの課題を互いに出し合い、毎晩シークエンスの作成と暗記とで気付くとベッドで朝を迎えている状態。
キツイながらも充実した訓練が続きました。


しかし、トレーニングが進み始めたのもつかの間、今度は機体トラブルでエンジンの始動が徐々に難しくなりはじめました。
ついには毎フライト前に一時間かけてカウリングを外し点火プラグを外して掃除をしなければならない状態に・・。

実はこの傾向は、7月から出ていて予備部品を注文しハンガリーへデリバリーされるよう手配していたのですが、日本とはお国柄が事なり、通関やらなにやらで配送が遅れに遅れて部品が手元にとどかなかったのです。
このためハンガリーのパイロットが持っていた同じ部品を借りる手配をして、部品を取りに車で走りまわり、何とか手配して翌日半日かけて修理して再度フライト可能な状態になるなど色々と試練は続きました。


しかし、大会直前の3日間は、ZILINA空港と大会会場であるDUBNICA空港を行き来してのトレーニングも実施し、いよいよ大会準備も整ってきました。


そして練習も最終日、DUBNICAへフライインする途中で今度は電気系統がOUTとなり、最終トレーニングスロットまで残り3時間で緊急修理。修理部品をフランスやドイツチームから借りるなど駆け回り何とかフライトに間合う状態でした。

大いにバタバタでしたが全ての準備を無事に終えて、大会初日のパイロットブリーフィングを迎えました。
ブリーフィングの最後に、規定演技のくじ引きが始まります。

もちろん最初に飛ぶ「No1」は、とてもとても不利なのは言うまでもありません。
昨年はまさかの「No1」で痛い目に合いました・・・・。

今回「No1」を引くとなると、6大会で3度のNo1
確立1/1万。

コーチとも「もう引かないでしょ!」なんて言ってたら、まさかまさか、またやっちゃいました。
またもや「No1」を引く事になるとは。
もはや笑うしかありません・・・。



続く。